テフロン Oリング

Oリングとは、 断面がO型(円形)の環状パッキンで、一般に溝に装着し、適度に圧縮させ、油、水、空気、ガスなど、多種多様な流体のシールとして使用します。使い方は固定用、運動用があります。

特長

■省スペースが可能
Oリング取付部の形状および構造は、きわめて簡易に設計でき、機器の小型化、軽量化にもなります。

■取り扱いが簡単
Oリングの形状及び装着部分は、極めて簡略化されていますので、取付け、取外しが容易にできます。

■広範囲に使用
適正なゴム材料を選定することにより、水、油、空気とうはもちろん、各種のガス、薬品にも安定した密封性を有します。温度はmax-60℃~+220℃の広範囲に使用でき、圧力は固定用で147.1Mpa(1500kgf/cm2)程度(バックアップリング併用)まで使用できます。

■種類が豊富でしかも低価格
各種用途に充分こたえる材料が規格化されており、また寸法系列も豊富にそろえていますので、選定および入手が容易です。しかも、コストも安価となっています。

種類

OリングのサイズはJIS、JASO並びに江東化工規格によって構成されています。

Oリングの規格(PDFファイル・69KB)

内径と太さの関係

Oリングの内径と太さの関係を示します。

Oリングの内径と太さの関係(PDFファイル・66KB)

材料

Oリングは、押しつぶすことにより発生する応力によって、密封機能を発揮していますので、異常な変形を起こさない範囲で、適度な応力を持つことが、基本的に要求される性質です。そしてこの基本的な性質は、使用中も失われないことが要求されます。
このような性質を持つ材料としては、合成ゴムが最もすぐれています。しかし、これらの性質を1つの材料で、すべてカバーすることはむずかしいので、それぞれの用途に応じて材料を使い分ける必要があります。
江東化工は、あらゆる使用条件に適応できるように、各種の材料を用意しております。

材料の種類と特長

江東化工では、JISおよびJASO規格に相当する材料を標準材料として準備するとともに、広範な使用条件に応じられるように、各種の特殊材料を用意しております。その代表的なものを表-2に示します。これ以外の特殊な用途についても、材料をそろえておりますので、別途ご相談ください。

表-2 Oリング用材料の種類と特長

種類 JIS規格
B2401
相当記号
ゴムの種類 特長



1種A ニトリルゴム 最も代表的な材料で優れた耐油、耐磨耗性と安定した耐熱性を有しています。また、空圧用Oリングの標準材料です。
1種B ニトリルゴム 1種Aとほぼ同等な性質を有し、1種Aよりも高度が高く耐圧性に優れた材料です。
2種 ニトリルゴム 灯油、軽油等の燃料油に優れた耐性を有する一般燃料油用の材料です。
3種 スチロールゴム エチレングリコール、ブレーキ油等の動・植物油に最も優れた耐性を有する材料です。
4種C シリコーンゴム 優れた耐熱・耐寒性を有し合成ゴムのなかで最も広い温度範囲に使用できる材料です。
4種D ふっ素ゴム 合成ゴムの中で最も優れた耐油、耐薬品、耐熱性を有する適用範囲の広い材料です。
※4種E アクリルゴム ニトリルゴムより耐熱性が良く、特にエンジン油、ギヤ油、トルコン油等に優れた耐油性を有する材料です。





極高ニトリル ニトリルゴム 耐燃料油性に優れており、特にガソリンには最も適した材料です。
ニトリルゴム 1種Aとほぼ同等の耐油性を有し、特に耐寒性に優れた材料です。
耐スチーム
シリコン
シリコーンゴム 特に耐熱水・耐水蒸気性に優れた材料でシリンダーライナー等の使用に優れています。
EPT エチレン
プロピレンゴム
植物油、熱水に対し優れた耐性を有する材料です。しかし、鉱物油には使用しないでください。
IIR ブチルゴム 耐薬品性、耐水性に優れた材料で気体を透過しにくいのが特徴です。しかし、鉱物油には使用しないでください。
CR クロロプレンゴム 耐候性、耐フレオンガス性には最も優れた耐性を持った材料です。

材料の選定

Oリングの機能を100%発揮させるためには、使用条件に最も適した材料を選定しなければなりません。
Oリングの材料は、使用温度と密封対象液に対する耐性から、表-3を目安として選定してください。なお特殊材料は、別途成形型を製作しなければならない場合がありますので、ご使用に関しては、江東化工にご相談ください。

Oリングの材料の選定(PDFファイル・76KB)
Oリング用材料の規格値 (PDFファイル・86KB)

使用方法

(1)線径の選定
図-1にOリング線径と圧縮永久歪の関係を示します。このように圧縮率を一定にした場合は、線径の太いほうが永久歪が小さくなりますので、太い線径のOリングをお使いになる方が、安定した密封性を得ることができます。特に運動用に使用する場合には、線径の太いものの方が、ねじれ防止に効果があります。

[図-1]

(2)高圧時の使用

Oリングは、材料の圧縮率によって密封機能を発揮しており、さらに密封流体の圧力によってセルフシールの効果も発揮します。したがって、原理的には圧力の限界は考えられないわけですが、実際にはOリングの使用個所には、必ずすきまが生じ密封対象流体の圧力によって,そこにOリングが食い込んで機能が維持できなくなります。
したがって、実際のリングの耐圧性は材料の機械的強度(代表値として:硬さ)とすきまの関係により定まります。その関係を13頁の図-8に示します。図-8によって、圧力あるいはすきまが限界を出るような場合には、バックアップリングの併用をおすすめいたします。
バックアップリングは両方から圧力のかかる場合、Oリングの両側に装着し、一方向から圧力のかかる場合、圧力と反対側に1個装着します。バックアップリングの形状にはエンドレス、バイアスカット、スパイラルの3種類があり、使用上の効果からはエンドレスが最も優れていますが、装着の点からはバイアスカット、スパイラルの方が便利です。
[図-8]

(3)用途別使用

■円筒面固定用

JIS規格のOリング及びみぞ寸法を使用する場合でも、寸法の許容差の組合せによっては、図-3のようにみぞ内径部にたるみが発生し、Oリングがかみ込まれる恐れがありますので、十分注意して組み込む必要があります。
これを防ぐために、内径が比較的大きい(φ150以上)場合には1ランク下のOリングを使用しても差し支えありません。

■平面固定用
●平面固定用は、図-4のごとく内圧がかかる場合(a)と外圧がかかる場合(b)の二つに分類されます。内圧用(a)の場合はOリング外径をDに合わせることを原則とします。
つぶし率は通常装着上の問題がないため、圧力によるボルトの伸び、フランジ面のひずみを考慮し、円筒面固定用より大きくとっています。(c)の場合のように壁を付けない場合には、圧力の変動によって磨耗または脱落することがありますので、ご使用にならないでください。

●内径が比較的大きい(φ150以上)で、線径が細い(φ3以下)場合、図-5の様にOリングが飛び出し、締め付けるとOリングの一部が切り取られる場合がありますので、飛び出し防止のためなるべく線径の太いものを使用してください。

●内圧用として使用する場合、D寸法の比較的小さい範囲(約φ30以下)においては、装着上不具合が生じることがありますので、D寸法を若干(約0.2~0.3mm)大きくとると便利です。

■真空フランジ用
Oリングを真空機器に使用する場合、一般の油圧用にくらべ、次の点で注意が必要です。
●真空機器の場合は、期待が密封対象となりますので、液体にくらべ接触面のすきまから漏れやすくなります。したがって特に接触部の表面粗さには十分ご注意ください。
●真空度にあったゴム材料を選定しないと、ゴムの中をガス分子が透過したり、ゴム材料の表面から添加剤が発散して、真空度を保持できなくなりますので、表-3により、ゴム材料を選定してください。[表-3]

■三角みぞ用
機器の簡略化から、三角みぞが使用されることがありますが、三角みぞは図-6のように、三方向からOリングをつぶすことになり、Oリングの圧縮永久歪が比較的大きくなります。
使用方法は図-6のようにし、D、d寸法は、寸法表中のみぞ部寸法D、dの値に準じてください。また、G寸法は1.3~1.4W(W:Oリング線径)にとってください。

■空圧運動用
●使用リング
JIS B・2401 PシリーズのOリング(1種A)を推奨します。

●使用方法
イ)給油方式を取る場合
・ピストンシールはOリング1個でも使用できますが、耐久性、シール性を考慮した場合2個使いを推奨します。
・ロッドシールはOリング1個及び、ダストシールの併用を推奨します。なお、Oリングとダストシールの間にグリースを塗布して下さい。
ロ)無給油方式を取る場合
・ピストンシールはOリングを2個使用し、Oリングの間に潤滑剤としてグリースを塗布して下さい。
・ロッドシールは給油方式の使い方に準じてください。

●注意事項
イ)溝寸法はJISシリーズ寸法表に準じてください。仕上げ等については13頁の表5及び表7をご参照ください。ピストンシールとして、Oリング2個使用する場合は図-7の寸法にして下さい。

ロ)潤滑剤はクリューバの「SEALUB-S1」か、リチウム石けん基ちょう度2号のグリースを使用してください。塗布方法はOリングとOリングの間、またはOリングとダストシールの間を埋めるよう、充分に塗布して下さい。
ハ)低摩擦運動用に使用する場合は、溝寸法を変更する必要がありますので別途江東化工にご相談ください。

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